案内ロボットのビジネス化と外観

http://japanese.engadget.com/2017/02/02/communication-robot/

受付等の案内係を担当してくれるサービスロボットの現在が紹介されている。オリックス・レンテックからレンタルできるようになるらしい「未来まどか」や、すでにテーマパーク等で実用化されている「ココロ」のような商品(?)がある模様。

掲載されている写真はなんとも「不気味の谷の谷底」とでもいった印象で、ちょっとこの人に向かって話しかけるのは抵抗があるが、今後のバージョンアップに期待したい。

受付・案内といった業務処理能力に関心を払いたい。受付も案内も共通して必要なスキルは「そのサービスに対する豊富な業務知識」である。企業の受付なら訪問客のアポイントや案内をこなすだけではなく、トイレの場所やエレベータの乗り場、会議室への誘導等、オフィスビル内の施設に精通する必要があるし、場合によってはアポなし訪問客への臨機応変な対処が迫られる。機械学習によって案内ロボットは、その会社のその業務への専門化が進んでいき、一定の学習を経た後は実用に耐えるようになるのだろう。

ビジネス商材としてこのロボットを考えるなら派遣社員の置き換えとなる。置き換えの優位性を考えてみたい。

働き方

ロボットは、人間と違って労働基準法の適用範囲外だ。どんなにブラック労働でもロボットなら大丈夫だし、疲れないから業務効率が落ちることもない。むしろ運転率を高めたほうが設備効率はいいし、機械学習が進む分そのロボットの「スキルアップ」にもなるだろう。人間とは真逆で、ロボットの場合は過酷に働かせる事が有効な使い方だといえる。

ロボットを人間のように認識してしまうとこの考え方には倫理的な反論が出るかもしれない。しかし受付・案内ロボットの場合その外観は見せかけでありその実態は Apple の siri や Amazon の Alexa と類似したAI的なコンピューティングである。コンピュータの利用法と考えるなら、24時間365日のフル稼働が理想であり、平均故障間隔(MTBF)を下げてシステムの稼働率を上げる事で効率化が進む。

コスト

どんぶり勘定では、設備投資後の減価償却費と派遣社員の給料を比べてコスト計算することになる。ロボットの量産化が進めば導入コストは下がるし、修理メンテナンスのターンアラウンドタイムも低下する。システムが「こなれてくれば」ランニングコストは下がっていくものだ。

人間の病欠リスク(インフルエンザやノロウィルスなど)はロボットより高く、定期メンテナンスしていれば数年病気知らずで動き続ける、といったことは期待できない。突然の病欠リスクに対してのバックアップ体制の準備といったコストを最小化できるメリットが高い。

また人間には退職リスクもある。業務に精通したベテランの退職は企業に取って大きな痛手であるが、これがロボットならリプレースする際には学習結果のDBをバックアップ・リストアすればよい。引き継ぎは簡単だ。さらには同じ人間を複数人雇うことさえできる。業務に長けたベテランの人を指して「XXさんが2人居ればいいのにな」という経営者の夢が叶う。

信頼性

現時点ではまだまだ生身の人間に遠く及ばない。ロボットに話しかけて期待通りの受け答えを得られると信じない人の方が多数派だろう。一問一答の問答ならともかく、折衝や交渉、雑談の中から裏話を聞けたりするわけでもなく人間と同列には位置づけられない。物珍しさや今後のテクノロジーの発展に期待している一部のアーリーアダプターが試している段階にすぎない。とりわけ技術にアレルギーをもった高齢者から評価を得られるとは思えない。

技術的には学習度合いによって大きく変わる今後ロボット技術の伸びしろであり、長期的には解決していくものだと言える。しかしここは技術ではなく人間感情による点が大きいように思う。

この点の解決はロボットの外観を人間に見せかけるのではなく、むしろ真逆で Amazon Echo のような割り切った外観にしたほうがいいのではないだろうか。ミドル層・シニア層が若い頃見ていたSFにそのヒントがある。対話型コンピュータはいくつかの作品に登場してきていた。例外的に鉄腕アトムはヒューマノイドだったが、ドラえもんのようなネコ型、バビル2世のような機械型を始め、ヒューマノイドはあまり多数派ではない。コンピュータと会話するシーンでは電子パネルに向かって話しかける描写の方が多かったように思う。ヒューマノイド型を進めると無駄に倫理の問題が浮上してしまうこともデメリットだ。手塚治虫作品に登場するロビタ型のロボットの方が感情的に割り切って使いやすい面があるはずだ。

まとめると人的リソース管理やコスト効率化の面ではロボット技術に大きく軍配が上がるものの、信頼性と(現時点では)スキルの点では人間に及ばない。スキルは時間が解決するだろうので、今後は多くの人に使ってもらうことを意識した外観の工夫すべきではないだろうか。それは決してヒューマノイド型ではないはずだ。

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